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第十二話 ドローンとAI

2019年04月02日

ドローンとAIで何ができるのでしょうか?今回ご紹介することは、一例にすぎませんが、将来を予測する上で、何らかのヒントになるのではないでしょうか?

 

GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のことです。

 

パソコンやスマートフォンの仕様表に記載されたCPUの情報に、デュアルコア(コア数:2)・クアッドコア(コア数:4)・オクタコア(コア数:8)などの表記があるのを見かけたこともあるでしょう。CPUではそれらが並列的に計算処理を行うわけです。コア数が2個(デュアルコア)より、4個(クアッドコア)、8個(オクタコア)の方が性能は高いことになります。

一方のGPUでは、1つのプロセッサに数千個のコアを搭載しており、CPUとは桁違いです。司令塔であるCPUに対して、人海戦術で大量の処理を行う工場のような存在がGPUといえます。

 

膨大な計算処理を必要とする3Dグラフィックス用途に設計されたプロセッサ・GPUは、その高い演算性能から、画像処理以外の用途にも利用されるようになっています。

 

最近では、CPUの代わりにGPUを搭載し、その高い演算性能を活用するGPUサーバーが注目されています。AIを急速に発達させた機械学習の1つ「ディープラーニング」用に適しているからです。ディープラーニングでは、大量のデータを機械に読み込ませることで、機械が自らそのデータから規則性や特徴を導き出し学習します。この際、大量のデータを深い階層まで掘り下げ分析するため膨大な量の計算が必要です。しかし以前はコンピューターの処理能力が足らず、ディープラーニングのアイデアがあっても実現しませんでした。その点、CPUよりはるかに高い演算性能をもつGPUサーバーであれば、比較的安価にディープラーニングを実行できるわけです。

 

現在のドローンの多くは、人手による操縦を補助するために、機体に取り付けたカメラや赤外線センサーからの情報を解析し、障害物を検知して操縦者に警告したり、回避や停止などの処理を行っています。現在のDJI社製のファントム4タイプでもスマートフォンの約2倍以上の28個ものCPUが使用されていますが、近い将来の実現を目指している目視外での完全な自律飛行には、不十分な技術とされています。

 

AIドローンに求められているのは、「考えて飛ぶ」技術になります。そこで、世界をリードするAIプラットフォームを提供するNVIDIA社は、AIによる自律飛行ドローンの研究開発に取り組んでいます。

 

NVIDIA社が得意とするAI技術は、高度な画像認識を基盤としたディープラーニングモデルによる推論とフレームワークと呼ばれるAI学習モデルを用いて、画像などの学習データを大量に投入し、そこから得られたディープラーニングモデルを用いて、ドローンの自律航行に求められる推論エンジンを生成します。この推論エンジンを搭載したAIドローンは、高度な自律的な飛行が可能となります。

 

NVIDIA社のAIドローンの中核となる技術は、JETSONというカードサイズの小型AIコンピュータです。JETSONを搭載することにより、ドローンは深層学習で得られた「推論」を搭載して自律的な飛行を可能にします。

 

例えば、JETSONで画像認識を学習したAIドローンは、空からカメラで撮影した画像を解析して、人物や対象物を発見できるようになります。また、インフラ点検ではヒビや破損などの問題を自動的に検出できるようになります。

 

プロジェクトREDTRAILと呼ばれる自律飛行ドローンへの挑戦では、オープンソースのオートパイロットプログラムに対して、カメラで撮影した画像をTrailNet DNNというAIでリアルタイムに解析し、ドローンの飛行制御コントロールに指示して障害物を回避します。

 

事前に飛行させる山林を撮影し、その画像を学習データとしてTrailNet DNNに投入して、AIドローンの自律飛行を実現しています。その様子は、以下の動画でも公開されています。AIドローンが山林の中の障害物と林道を認識して自律飛行する様子が紹介されています。